【40代USCPA目指せ税理士】法人税法勉強メモ19(短期売買商品等)

税理士
1.短期売買商品等
短期売買商品等に係る譲渡損益は、譲渡対価の額と譲渡原価の額の差額として計算するが、譲渡原価の額の計算は内部計算であるため、その計算方法等について規定を置いている。
(加算)短期売買商品計上もれ
(減算)短期売買商品等過大計上
企業会計では、トレーディング目的で保有する棚卸資産は時価で評価され、評価差額は当期の損益として処理することとされている。このような棚卸資産を法人税等では短期売買商品等といい、企業会計と同様に時価評価をすることとなる。
短期売買商品等とは
短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した資産として次のもの(有価証券を除く)及び暗号資産をいう。
(1)内国法人が取得した金、銀、白金その他の資産のうち、短期売買目的で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的でその取得の取引を行ったもの(専担者売買商品)
(2)取得日において短期売買目的で取得したものである旨を帳簿書類に記載したもの((1)を除く。)
⇨トレーディング業務を日常的に行う専門の担当者や専門部署により運用されている場合の金銀等が該当する。専門の担当者専門部署がない法人であっても、勘定科目を「投資棚卸資産」とするなど、他の目的で取得した資産と区分して帳簿書類に記載したものについては短期売買商品とみなす。
譲渡損益の益金又は損金算入
内国法人が短期売買商品等の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、その譲渡契約日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
・基本算式
譲渡利益額=譲渡対価の額-譲渡原価の額
譲渡損失額=譲渡原価の額-譲渡対価の額
・短期売買商品等の取得価額
購入した場合➡︎購入代価+購入費用
交換、贈与等により取得した場合➡︎取得時における取得のために通常要する価額
・譲渡原価の額の計算
①譲渡原価の額
譲渡原価の額=1単位当たりの帳簿価額 x 譲渡数量
②帳簿価額の算出方法
移動平均法と総平均法のどちらかが任意で選択可能であるが、選択しなかった場合には法定算出方法である移動平均法となる。
・税務調整
譲渡原価の額が確定すると、同時に期末帳簿価額も確定する。法人税の計算では、期末帳簿価額が正しく計算されていれば、譲渡原価の額も正しく計算されていると考えます。従って、会社計上の期末帳簿価額と税務上の期末帳簿価額との間に差額が生じている場合には、その差額は、譲渡原価の額の差となっている。
<計算パターン>
(1)会社計上の簿価
(2)税務上の簿価
(3)過大計上又は計上もれ
(1)-(2)➡︎短期売買商品等過大計上(減算留保)
(2)-(1)➡︎短期売買商品等計上もれ(加算留保)
期末評価額と評価損益
期末評価
内国法人が事業年度終了時において有する短期売買商品等については、時価法により評価した金額をもって、期末評価額とする。
⇨トレーディング目的で保有する棚卸資産について、時価評価する企業会計との調整上、法人税法でも時価法により評価することとされている。
時価法とは
時価法とは、期末に有する短期売買商品等をその種類等の異なるごとに区分し、その種類等ごとに、期末時の価額をもって期末評価額とする方法である。時価法を適用する場合の「期末時の価額(時価)」は、原則として次の価格による。
(1)原則
期末日の最終の売買の価格
(2)(1)の価格がない場合
期末日の最終の気配相場の価格
(3)(1)(2)の価格がいずれもない場合
期末日前で、その期末日に最も近い日の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格を基礎とした合理的な方法により計算した金額
評価損益
内国法人が事業年度終了時において短期売買商品等を有する場合には、その短期売買商品等に係る評価益又は評価損は、その事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
評価益➡︎益金算入
=時価評価金額 – 期末帳簿価額
評価損➡︎損金算入
=期末帳簿価額 – 時価評価金額
<計算の型>
(1)税務上の簿価
(2)時価評価金額
(3)計上もれ
(1)-(2)➡︎短期売買商品等評価損計上もれ(減算留保)
(2)- (1)➡︎短期売買商品等評価益計上もれ(加算留保)

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