今回は現金と債権についてまとめていきます。現金同等物の小切手は日本では馴染みが薄いですが、米国では支払いの主流です。債権では貸倒引当金の論点が重要です。記事内容は個人的なメモに過ぎませんのであくまでも参考としてご覧ください。この記事を参考されたことによる結果について、いかなる責任も負いかねますので何卒よろしくお願いいたします。
目次
現金と債権 Cash and Account Receivable ★★★★★
流動資産の定義と主な項目
- 現金のうち1年以内に使用できるもの
- 売掛金
- 1年以内に回収できるその他の受取債権
- 1年以内に売却予定の有価証券
- 棚卸資産
- 前払費用
現金及び現金同等物の構成要素及び表示
貸借対照表上、現金として表示されるもの
cash
- 紙幣、硬貨
- 銀行預金
- 小切手、為替
cash equivalent 現金同等物
3つとも購入から満期まで3か月以内の短期投資
- treasury bills; TB 米国財務省短期証券
- commercial paper; CP コマーシャルペーパー
- money market fund; MMF 短期金融市場投資信託
貸借対照表上、現金として表示されないもの
- 法律の規制により自由に使用することができない現金
- bond sinking fund 減債基金の現金
減債基金とはbondの償還に備えて積み立てておく預金のこと
- bank overdraft 当座借越
マイナスの預金残高。残高がマイナスとなっても、銀行との契約で一定額までは引き出せる場合がある。
この場合は、基本的に現金のマイナスではなく流動負債(借金のイメージ)に計上する。ただし、同銀行の別口座に残高がある場合は現金との相殺が認められる。
小切手
小切手の種類
- outstanding check; 未決済小切手
私が小切手を発行したしたものの、相手がまだ換金していない
- postdated check; 先日付小切手
私が小切手を発行したが、発効するのは将来である
- not sufficient funds; NSF check 預金不足小切手
私が小切手を発行したが、私の銀行口座の残高が不足していたため相手が換金できない
- void check; 無効小切手
書き間違えて無効となった小切手
銀行勘定調整
ここは超重要論点です。MCでもTBSでも出題される可能性があります。小切手の種類を理解した上で、「book; 帳簿」と「bank statement; 銀行残高」のどちらを加減算するのか、自分で調整表がかけるように練習しましょう。基礎ができていれば大丈夫だです。
bookとは企業の記録でありbank statementとは銀行の記録のことです。
本来はこの2つの残高は一致しているはずですが、何らかの理由で期末にズレている場合があります。そのズレている原因を特定し、修正するのが銀行勘定調整です。
下記の表を押さえておきましょう。
book |
bank statement |
|
現金の加算 | ・債権回収の未記帳(仕訳要)
・誤記帳(仕訳要) |
・小切手の入金処理は行われていたものの、 まだbank statementには含まれていなかったものdeposit in transit(仕訳不要) |
現金の減算 | ・銀行手数料が引かれるも未記帳(仕訳要)
・誤記帳(仕訳要) ・受け取った小切手が相手の残高不足で返却された場合(仕訳要) |
・発行したもののまだ引き落とされていないoutstanding check(仕訳不要) |
主な支払い条件と売掛金の評価
米国特有の代金支払い条件の言い回し
COD(cash on delivery)
商品の引き渡し時点で代金の支払いを求める
2/10, net 30
商品引渡しの30日後が代金の支払い期限であるが、10日以内に支払えば2%の割引を行う。
貸倒引当金
ここも超重要論点です。この貸倒引当金は答えられないと差がつくと思います。
貸倒引当金とは売掛金など債権が回収できないリスクを予め財務省表に反映させるための勘定科目です。当期の売上に対応するものは当期の費用として計上しておくという原則に則る処理になります。以下の仕訳の流れをおさえましょう。
- 決算日であるx1年12月31日に売掛金に対して$10,000の貸倒引当金を設定した。
D) Bad debts expense 10,000 C) Allowance for doubtful accounts 10,000
- x2年度の期中にこの$5,000が貸し倒れた。
D) Allowance for doubtful accounts 5,000 C) Accounts receivable 5,000
- x2年12月31日に売掛金に対する貸倒引当金は$12,000と見積もられた。
D) Bad debts expense 7,000 C) Allowance for doubtful accounts 7,000
元々$10,000を引当て$5,000が貸倒れているので決算前の残高は$5,000。そこから$12,000まで残り$7,000を引当てます。
- x3年度の期中に×2年度に貸し倒れた売掛金のうち$1,000を回収した。
D) Cash 1,000 C) Allowance for doubtful accounts 1,000
貸倒引当金の引当方法は以下の二種類あります。
売上高比例法
売上高の〇〇%のBad debts expense を見積もる。⇨P/Lへ
売掛金残高比率
売掛金総額の◯◯%のAllowance for doubtful accountsを見積もる。⇨BSへ
問題文の違いで計算方法を選べばOK。
【例】
期末に売上高$100,000の2%のBad debts expenseを見積もった。期首の貸倒引当金は$5,000であった。なお、期中の貸倒れはなかった。
Bad debts expense $2,000
Allowance for doubtful accounts $7,000
期末に売掛金総額$400,000の2%のAllowance for doubtful accountsを見積もった。期首の貸倒引当金は$5,000であった。なお、期中の貸倒れはなかった。
Bad debts expense $3,000
Allowance for doubtful accounts $8,000
まず、Allowance for doubtful accountsを算出し期首との差額でBad debts expenseを求める。
債権の譲渡
企業は現金が必要な時、保有債権を譲渡することで資金を融通してもらいます。
そのパターンは以下2種類あります。
- secured borrowing 担保付借入
債権はオンバランスのまま利息を認識する
借入時
D) Assigned accounts receivable 5,000 C) Account receivable 5,000
D) Cash 4,950 C) Notes payable 5,000
Finance charge 50
手数料を5%とする
回収時
D) Cash 5,000 C) Assigned accounts receivable 5,000
D) Notes payable 5,000 C) Cash 5,150
Interest expense 150
利息を3%とする
- sales 売却
債権をオフバランスさせるとともに売却損益を認識する
債権の譲渡を売却とみなすためには以下の3つの条件を満たす必要がある
- 譲渡人が倒産しても債権者は譲渡人から回収することはできない
- 譲受人が担保提供・交換の自由を有している
- 買戻し権が存在しない
D) Cash 9,600 C) Accounts Receivable 10,000
Loss on sale of receivable 1,000 Resource obligation 600
- 譲渡した資産の認識を停止する
- 回収サービス義務を負債として計上する
- 損失を認識する
ファクタリングの会計処理
Factoring ファクタリングとは、売上債権を金融会社や銀行などのファクターに売却することにより行われる資金調達である。
特徴的なのはfactor’s holdback ファクター留保があること。
factor’s holdbackとは顧客からの返品などに備えてファクターが留保する金額でありこれを新たな債権として計上する。また、Resource obligationはある場合とない場合がある。
D) Cash 9,000 C) Accounts Receivable 10,000
Factor’s holdback 800
Loss on sale of receivable 200
今日はここまで。お付き合いありがとうございました。
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