前回に続き棚卸資産についてまとめていきます。少し応用の論点もありますが、低価法を中心に学習してください。記事内容は個人的なメモに過ぎませんのであくまでも参考としてご覧ください。この記事を参考されたことによる結果について、いかなる責任も負いかねますので何卒よろしくお願いいたします。
目次
棚卸資産 Inventory ★★★★
ドル価値後入先出法
ここの計算はややこしいので最悪飛ばしてもいいのかなと思います。
後入先出法の問題点
後入先出法とは後から仕入れた棚卸資産を先に払い出すと仮定する計算方法であった。このため、期末在庫には過去の単価の棚卸資産が蓄積されることとなる。物価は一般的に上昇していくので過去の在庫は単価の低いものである。
ある期に商品が大量に売れると過去の蓄積分が一気に払い出されるため、1個あたりの売上原価は下落し、その結果、売上総利益がかなり大きくなってしまうという問題がある。この現象をLIFO liquidationという。
ドル価値後入先出法
この歪みを是正するために数量ベースではなく金額ベースでLIFOを利用することが考え出された。この考え方をドル価値後入先出法という。要は物価上昇の影響を除外して期末の棚卸資産を評価するということ。
以下の表をもとに各年度の棚卸資産の評価額を考える。
年度 |
各年度末ベースの価格による評価額 |
価格指数 |
基準年度末ベースの価格による評価額 |
20×1(基準年度) | $100,000.00 | 1.00 | $100,000.00 |
20×2 | $149,500.00 | 1.15 | $130,000.00 |
20×3 | $150,000.00 | 1.20 | $125,000.00 |
20×4 | $175,500.00 | 1.30 | $135,000.00 |
20×2年度
- x2年度ベースの価格による期末棚卸資産 $149,500
- 価格指数を用いてx2年度の棚卸資産をx1年ベースに変換 $149,500 ÷1.15 = $130,000
- 同物価ベースでx1年度からは$100,000→$130,000で$30,000増えた
- この$30,000はx2年度に増えたので価格指数を用いてx2年度ベースに戻す $30,000 x 1.15 = $34,500
- x2年度の期末棚卸資産は$100,000 + $34,500 = $134,500
20×3年度
- x3年度ベースの価格による期末棚卸資産 $150,000
- 価格指数を用いてx3年度の棚卸資産をx1年ベースに変換 $150,000 ÷1.20 = $125,000
- x2年度の期末棚卸資産$130,000よりも$5,000だけ少なくなっている
- x3年度に仕入れた分は全て売れたということ。期末棚卸産はx1年度の$100,000とx2年度の$25,000で構成されている。ただし、$25,000はx2年度ベースに戻す
- x3年度の期末棚卸資産は$100,000 + $25,000 x 1.15 = $128,750
20×4年度
- x4年度ベースの価格による期末棚卸資産 $175,500
- 価格指数を用いてx3年度の棚卸資産をx1年ベースに変換 $175,500 ÷1.30 = $135,000
- x1年度の$100,000からの増加分のうち上記の通り、$25,000分はx2年度ベースの1.15、$10,000はx4年度の1.30を乗じて戻す。
- x4年度の期末棚卸資産は$100,000 + $28,750 + $13,000 = $141,75
ここは計算がややこしいので最悪後回しでいいかと。
低価法
低価法とは期末日ごとに棚卸資産の取得原価と時価を比較し、どちらか低い方の金額を期末棚卸資産の評価額とすることである。
x1年度に$500で取得した棚卸資産が期末に$800に上昇した場合
⇨取得原価の方が低いので期末評価額は$500となる
この棚卸資産がx2年度期末には時価が$300に下落した場合
⇨時価の方が低いので期末評価額は$300となる。合わせて$200のlossを計上する
D) Loss on subsequent measurement 200 C) Inventory 200
棚卸資産の時価
原則 これは大変重要です
Net realized value(NRV) = Selling price – Selling cost
例外 これは余裕があればでいいと思います
後入先出法または売価還元法を採用していた場合
あれころ考えす以下を暗記しましょう。
再調達原価(replacement cost)
NRV
NRV – 正常利益(normal profit)
の3つの値のうち真ん中の数値が時価です。
購入契約
purchase commitmentとは将来一定の価額で一定の棚卸資産を購入する契約で、契約の解除をできないことを前提としている。
x1年度に翌年度1年間で部品10,000個を一つあたり2ドルで購入する契約を締結した。しかし、x1年度の期末において一つあたり1ドルにまで時価が下落してしまった。
ここで低価法の考えを適用し$10,000の損失を認識するのだが、認識時点はx1年かそれともx2年か?
答えは保守主義の原則に則りx1年である。
x1年度末
D) Estimated loss on purchase commitment 10,000 C) Accrued loss 10,000
x2年度
D) Inventory 10,000 C) Cash 20,000
Accrued loss 10,000
x1年度の時点ではAccrued lossとしてBSへ計上しておく。
売価還元法
売価還元法は取り扱い品目が多い業種で採用される計算方法である。
売価に原価率を乗じて期末の棚卸資産を評価する方法である。
下記のBOX図を描くと良い。これ以上の応用論点もあるが私はここまでしか学習はしていません。