【40代USCPA目指せ税理士】法人税法勉強メモ12(所得税額の控除)

税理士
1.概要
利子や配当金の支払いを受ける場合には、その利子や配当金に対して所得税が源泉徴収されることになります。この源泉徴収された所得税は、法人税と同じ国税であることから、法人税を前払いしたものと考え、法人税から控除することが認められている。
法人が利子や配当金の支払いを受ける場合には、その利子や配当金から所得税(復興特別所得税含む)が源泉徴収されることになる。この利子や配当金の額は、収益の額であることから、原則として益金の額に算入され法人税が課税されることになる。
このように、利子や配当金の支払いを受ける場合には、所得税が源泉徴収され、さらに法人税が課税されることとなり、同じ国税の間で二重課税が生じてしまう。
二重課税
内国法人が支払いを受ける利子及び配当金について、源泉徴収された所得税の額は、一定の方法により当期の法人税額から控除し、控除しきれない金額は還付される。
なお、源泉徴収された所得税について、所得税額控除の適用を受ける場合には、税額計算上控除することになるため、所得計算と税額計算の間の二重控除を防止する意味で、所得計算上は損金不算入とされる。
2.控除する所得税額の計算
源泉徴収率
剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配(出資に係るもの)、みなし配当、公社債投資信託以外の証券投資信託の収益分配金
上場➡︎15.315%
その他➡︎20.42%
公社債の利子、公社債投資信託の収益分配金、預貯金の利子➡︎15.315%
期間按分を要するものと要しないもの
要するもの
株式出資に係る所得税額
(みなし配当に係るものは除く)
証券投資信託の受益権に係る所得税額
(公社債投資信託に係るものは除く)
要しないもの
公社債、公社債投資信託、預貯金などに係るもの
⇨株式の配当は例えその株式の所有期間が1日であったとしてもその配当計算期間に係る配当金の全額が支払われることになる=所得税も多く控除されてしまうことになるので期間での按分が必要。
計算方法
株式出資と受益権の区分ごとに、いずれかの方法を選択することが可能
個別法
元本の所有期間に対応する金額を、実際の所有期間を使用して按分する方法
計算の型
配当金に対する所得税の額 x 元本の所有期間の月数 / 配当等の計算期間の月数➡︎月数については1月未満切り上げ、割合については小数点以下、3位未満切上げ
簡便法
計算期間中に取得した元本は、全て計算期間の中央で取得したものと仮定して計算する方法
計算の型
配当金に対する所得税の額 x 配当金計算期間開始時の所有元本数A + (B-A) x1/2 / 配当期間中終了時の所有元本数B➡︎割合については小数点以下、3位未満切上げ
⇨(例)当社は、D社株式を令和3年11月に30,000株を取得し保有しており、令和4年9月4日に20,000株を追加取得している。当社はD社から剰余金の配当金1,000,000円の支払いを受け、源泉徴収額153,150円を控除した差引手取額を当期の収益に計上している。配当計算期間は令和4年1月1日から令和4年12月31日である。
153,150 x 30,000 + (50,000-30,000) x 1/2 / 50,000 (0.800) = 122,520
⇨個別法又は簡便法の選択は、法人にとって有利になる方法を選択することができる。従って、税額控除が多く計算される方法を採用することとなっており、これが計算を煩雑にしている。
計算の型
(1)株式出資
①個別法
②簡便法
③①と②の多い方
(2)受益権
①個別法
②簡便法
③①と②の多い方
(3)その他
所有期間按分は不要(全額控除)
(4)合計
(1)+(2)+(3)➡︎法人税額控除所得税額(別表四仮計・加算社外流出)
            税額所得税額(別表一法人税額計の下・控除)
所得税額控除は、原則として源泉徴収された事業年度(配当等の支払を受けた事業年度)において適用することになる。従って、未収配当等に係る源泉徴収税額について、まだ源泉徴収をされていない段階(配当等の支払いを受けていない段階)では、原則として所得税額控除の対象とすることはできない。ただし、配当等の効力発生により既に支払が確定した剰余金の配当等について、確定した決算において未収金として収益に計上した場合には、その経理した事業年度での適用が認められる。
⇨下記の配当等の額は当期現在未収であるが、当期の確定した決算において、未収金として収益に計上している。この場合には、配当等を収益計上するとともに所得税額控除の適用を受けることができる。
配当等の額 1,000,000円
配当等の計算期間 令4.1.1〜4.12.31
源泉徴収額 153,150円
配当効力発生日 令5.3.24
理論 所得税額控除
(1)内容(法68①、復興財確法33②)⭐︎
内国法人が利子及び配当等の支払を受ける場合には、これらにつき課される所得税額、その事業年度の法人税額から控除する。なお、復興特別所得税額は所得税額とみなす。
(2)控除所得税額(令140の2①②③)
①期間按分を要するもの
剰余金の配当等(みなし配当を除く。)又は集団投資信託(公社債投資信託等を除く。)の収益の分配に対する所得税については、次のいずれにより計算した金額とする。
(イ)個別法
所得税額 x 元本所有期間の月数 / 配当等の計算期間月数
(ロ)簡便法
所得税額 x 配当等の計算期間開始時の所有元本数(A) + {(B) – (A)}x 1/2 / 配当等の計算期間終了時の所有元本数(B)
(注)配当等の元本を株式及び出資又は受益権に区分し、その区分に属する全ての元本について、その銘柄ごとに計算する。
②期間按分を要しないもの
①以外の所得税については、その全額とする。
(3)適用除外(法68②)
(1)の規定は、公益法人等又は人格のない社団等が支払を受ける利子及び配当等で収益事業以外の事業に係る所得税額については適用しない
(4)申告要件(法68③)
(1)の規定は、確定申告書、修正申告書又は更生請求書に控除を受ける金額その他一定の金額及びその明細を記載した書類の添付がある場合に限り、その記載金額を限度に適用する
2.還付(法78①)
確定申告書に所得税額の控除不足額の記載があるときは、税務署長は、その金額に相当する税額を還付する。
3.損金不算入(法40)
1.又は2.の適用を受ける場合には、控除又は還付をされる金額は、各事業年度の損金の額に算入しない。

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