【40代USCPA目指せ税理士】法人税法勉強メモ20(有価証券・資産の評価損益)

税理士
1.有価証券
有価証券に係る譲渡損益は、譲渡対価の額と譲渡原価の差額として計算するが、譲渡原価の額の計算は内部計算であるため、その計算方法等について規定を置いている。
有価証券計上もれ➡︎加算
有価証券過大計上➡︎減算
⇨短期売買商品等の取り扱いと同様
有価証券とは
(1)金融商品取引法に掲げる有価証券に表示されるべき権利(その有価証券が発行されていないものに限る)
(2)銀行法に規定する譲渡性預金証書をもって表示される金銭債権
(3)合名会社等の社員の持分、協同組合等の組合員等の持分その他法人の出資者の持分
(4)株主又は投資主となる権利、優先出資社となる権利、特定社員又は優先出資社員となる権利その他法人の出資者となる権利
⇨国債証券、地方債証券、社債券、日銀等の発行する出資証券、株券、証券投資信託の受益証券、貸付信託の受益証券、抵当証券
譲渡損益の益金又は損金算入
内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額又は損失額は、その譲渡契約日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
譲渡損益の計算
譲渡利益額 = 譲渡対価の額 – 譲渡原価の額
譲渡損失額 = 譲渡原価の額 – 譲渡対価の額
有価証券の取得価額
①購入した場合➡︎購入代価+購入費用
②金銭の払込による場合➡︎払込金額+取得費用
③有利発行に係る払込みによる場合➡︎払込期日の価額
(株主等として取得したもの等を除く)
④交換、贈与等により取得した場合➡︎取得のために通常要する価額
購入に要した費用(付随費用)
購入手数料➡︎取得原価に含めなければならない
通信費、名義書換量➡︎取得原価に含めないことができる
譲渡原価の額
譲渡原価の額 = 1単位当たりの帳簿価額 x 譲渡元本数
帳簿価額の算出方法
法人の任意で移動平均法と総平均法を選択可能。ただし、選定しなかった場合には法定算出方法である移動平均法により算出した額となる。
税務調整
譲渡原価の額が確定すると、同時に期末帳簿価額も確定する。法人税の計算では、期末帳簿価額が正しく計算されていれば、譲渡原価の額も正しく計算されていると考える。従って、会計上の期末帳簿価額と税務上の期末帳簿価額との間に差額が生じている場合には、その差額は、譲渡原価の額の差となっている。この差額については、別表四において、正しい譲渡原価の額に修正する税務調整が必要となる。
<計算の型>
(1)会計上の簿価
(2)税務上の簿価
(3)過大計上又は計上もれ
 (1)- (2)➡︎有価証券過大計上(減算留保)
 (2)-(1)➡︎有価証券計上もれ(加算留保)
2.期末評価額と評価損益
有価証券の区分と評価方法
売買目的有価証券➡︎時価法
売買目的外有価証券(償還有価証券)➡︎償却原価法
売買目的外有価証券(上記以外の有価証券)➡︎原価法
売買目的有価証券の意義
(1)内国法人が取得した有価証券のうち、短期売買目的で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的でその取得の取引を行ったもの(専担者売買有価証券)
(2)取得日において短期売買目的で取得した者である旨を帳簿書類に記載したもの
売買目的有価証券の期末評価
内国法人が事業年度終了時において有する売買目的有価証券については、時価法により評価した金額をもって期末評価額とする。
時価法とは
時価法とは、期末に有する有価証券を銘柄の異なるごとに区分し、その銘柄ごとに、期末時の価額をもって期末評価額とする方法である。
(1)原則
 期末日の最終の売買の価格
(2)(1)の価格がない場合
 期末日の最終の気配相場の価格
(3)(1)(2)の価格がいずれもない場合
 期末日前で、その期末日に最も近い日の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格を基礎とした合理的な方法により計算した額
評価損益
内国法人が事業年度終了時において売買目的有価証券を有する場合には、その売買目的有価証券に係る評価益又は評価損は、その事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
評価益➡︎益金算入
=時価評価金額 – 期末帳簿価額
評価損➡︎損金算入
=期末帳簿価額 – 時価評価金額
<計算の型>
(1)税務上の簿価
(2)時価評価金額
(3)計上もれ
  (1)-(2)➡︎有価証券評価損計上もれ(減算留保)
  (2)-(1)➡︎有価証券評価益計上もれ(加算留保)
2.資産の評価損益
法人税法においても企業会計と同様に、取得原価主義を原則としているが、一定の場合には資産の評価換え(評価損益の計上)をすることが認められている。
資産の評価損益は、資本等取引から生ずるものではない。従って、所得計算の原則的な考え方からは課税所得を構成してしまうことになる。しかし、資産の評価益は、未実現の利益であり担税力を伴わない。また、評価損は、企業の内部計算により計上されるものであるため、意図的な操作を排除する必要がある。このような理由から、資産の評価損益は、その計上が特定の場合に限られている。
評価損の益金不算入額➡︎加算
評価益の益金不算入➡︎減算
原則的な取扱い
・評価損益
資産の評価換えをしてその帳簿価額を増額又は減額した場合には、その増額又は減額した部分の金額は、原則として、各事業年度の益金の額又は損金の額に算入されない。
従って、法人が益金の額又は損金の額に算入されない評価損益を計上した場合には、次の税務調整が必要となる。
区分 金額 税務調整
評価益 帳簿価額を増額した部分の金額 評価益益金不算入額(減算留保)
評価損 帳簿価額を減額した部分の金額 評価損損金不算入額(加算留保)
上記、評価換えにより増額又は減額された金額を益金の額又は損金の額に算入されなかった資産については、その事業年度以後の帳簿価額は、その増額又は減額がされなかったものとみなされる。
金額 税務上の帳簿価額
評価益が益金不算入とされた場合 会社計上の帳簿価額-評価益益金不算入額
評価損が損金不算入とされた場合 会社計上の帳簿価額+評価損損金不算入額
会社更生手続き、民事再生手続等のための評価換えや、保険会社の株式評価換えというような特別な場合に限って、評価益の計上を認めている。
特定の事実による評価損の損金算入
法人の有する資産につき、物損等の事実が生じた場合において、損金経理により帳簿価額を減額した時は、その減額した部分の金額のうち、損金算入限度額に達するまでの金額は、損金の額に算入することが認められている。
・棚卸資産
①災害により著しく損傷したこと
②著しく陳腐化したこと
③①及び②に準ずる特別の事実
・有価証券
①市場有価証券等
時価が著しく低下したこと
②市場有価証券等以外の有価証券
資産状態が著しく悪化したため、時価が著しく低下したこと
・固定資産
①災害により著しく損傷したこと
②1年以上遊休状態にあること
③本来の用途に使用できないため、他の用途に使用されたこと
④所在場所の状況が著しく変化したこと
⑤①〜④までに準ずる特別の事実
⇨次の事実は物損等の事実に該当しない
①過度の使用又は修理不十分等で著しく損耗していること
②償却不足額が生じている
③取得価額が、その取得事情等により、同種の資産の価額に比して高いこと
④製造方法の急速な進歩等による旧式化
・繰延資産
①支出の対象となった固定資産について上記①〜④の事実が生じたこと
②①に準ずる特別な事実
損金算入限度額
評価換え直前の帳簿価額-その資産の期末時価
税務調整
<計算の型>
(1)判定
評価損計上の可否を判定する
(2)損金算入限度額
評価換え直前の帳簿価額-その資産の期末時価
(3)損金不算入額
会社計上評価損の額-(2) =+の場合 ○○評価損損金不算入額(加算留保)
           =△の場合 評価損計上不足額 or 前期以前の評価損損金不算入額 いずれか少ない方
           ➡︎○◯評価損損金不算入額認容(減算留保)
減損損失との関係
法人税法では、評価損の損金算入が認められるケースは、物損等の事実が生じている場合等に限定されており、法人が減損損失を計上したとしても、法人税上の評価損の計上要件を満たさない場合には、その減損損失の額は評価損として損金の額に算入することは認められない。
職給与 = 役員退職の支給額 – 職務対価相当額

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