【40代USCPA目指せ税理士】法人税法勉強メモ5(受取配当金等の益金不算入)

税理士
1.制度の趣旨と基本的な考え方
法人間の二重課税の排除
株式会社等の法人が、配当金を支払う時の財源は、既に法人税が課税された後の課税済所得である。配当金の支払いは、資本取引に該当し、支払配当金を損金の額に算入することはできない。加えて、その配当金を受け取った法人に、再び法人税を課税してしまうと、同一の財源に対して2度、法人税が課税される二重課税の問題が生じる。
⇨二重課税の排除は課税の公平性を図るため。二重で課税がされると配当が促進されず経済にも悪影響を及ぼす。
中立性の確保
この制度がなかった場合、経済的実態が類似する支店経営と子会社経営では下記のような課税の不公平が生じる。
⇨配当金を益金不算入とすることで支店経営と子会社経営で不公平が是正される。
2.益金不算入の計算
配当等の額の区分と益金不算入額
完全子法人株式等に係るもの…配当等の額の全額
⇨配当等の計算期間中継続して(その期間中ずっと)完全支配関係があった他の内国法人の株式
関連法人株式等に係るもの…配当等の額-利子相当額
⇨配当等の計算期間中継続して(その期間中ずっと)発行済株式等の3分の1超(34%以上)を保有している他の内国法人の株式等(完全子法人株式等除く)
⇨利子相当額を控除するのは、有価証券を購入するために銀行から借入れを行ったと考えるため。この借入金から生じる支払い利息は配当等を得るためのコストであり、益金不算入にあたってはこのコストを差し引いた利益の部分に限定すべきと考えられる。支払利息部分は損金算入がされるので、益金不算入になってしまうと二重で恩恵を受けることとなってしまう。
非支配目的株式等に係るもの…配当等の額のx20%
⇨配当基準日において発行済株式等の5%以下の株式等を有する場合の他の内国法人の株式等
その他株式等に係るもの…配当等の額のx50%
⇨上記のいずれにも該当しない株式等
計算の型
(1)配当等の額
 ①完全子法人株式等
 
 ②関連法人株式等
 ③その他株式等
 ④非支配目的株式等
(2)利子相当額(関連法人株式等)
(3)益金不算入額
(1)① + (2)②ー(2)+(1)③x50% +(1)④x20% 
=受取配当等の益金不算入額(減算※社外流出)
3.株式等の区分
完全法人株式等
完全子法人株式等とは、配当等の額の計算期間の初日から末尾まで継続して内国法人とその配当等をする他の内国法人との間に完全支配関係がある場合の当該他の内国法人の株式等をいう(法23⑤)
完全支配関係
・当事者間の完全支配関係
一の者が法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として一定の関係をいう。
⇨直接完全支配関係、みなし直接完全支配関係
法人相互の完全支配関係
一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいう。
⇨法人相互の完全支配関係
関連法人株式等
関連法人株式等とは、内国法人が他の内国法人の発行済株式等(自己株式等を除く)の3分の1超の株式等を、その配当等を、その配当等の額に係る配当等の前に最後に当該他の内国法人によりされた配当等の基準日等の翌日からその配当等の額に係る基準日等まで引き続き有している場合の当該他の内国法人の株式等(完全子法人株式等を除く)をいう。
⇨条文が分かりづらい。今回の配当基準日以前6月以上継続して発行済株式等の3分の1超の株式を保有してしていれば関連法人株式等に該当すると覚えてしまう。
非支配目的株式等
内国法人の発行済株式等(自己株式等を除く)の5%以下の株式等を基準日等において有する場合の当該他の内国法人の株式等(完全子法人株式等を除く)。及び特定株式投資信託の受益権をいう。
⇨特定株式投資信託とは信託財産を株式のみに運用することを目的とする証券投資信託のうち、その受益権が上場されていること等の要件に該当するものをいう。
その他株式等
その他株式等とは、完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等をいう。
4.配当等の額の範囲
対象となる配当等
剰余金の配当、出資分量分配金…株式会社及び共同組合等からの利益の分配
利益の配当…持分会社(合名会社、合資会社及び合同会社)からの利益の分配
剰余金の分配…相互保険会社からの利益の分配
名義株配当金…役員等の名義であるが、当社が取得資金を拠出する等実質的に当社が所有している株式等に係る配当金
特定株式投資信託の収益分配金…信託財産を特定の株価指数採用銘柄の株式のみで運用することを目的とする一定の証券投資信託に係る収益文分配金(外国株価指数連動型特定株式投資信託に係るものは除く)
対象とならない配当等
外国法人からの配当金…内国法人間における二重課税は生じないため
契約者配当金、事業分量分配金…支払法人側で損金算入が認められており、二重課税は生じないため
名義書換失念株配当金…株主としての地位に基づき正当に取得したものではないため
特定株式投資信託以外の証券投資信託の収益分配金…純粋な投資商品であるため
預貯金の利子…出資関係がなく、課税済所得の分配ではないため
公益法人等または人格のない社団等から支払いを受ける配当金…出資持分が不明確なこと、必ずしも二重課税が生じないこと
5.配当等収益の計上の時期
剰余金の配当…配当効力発生日
投資信託の収益分配金…計算期間の末日
⇨例外として入金日

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